宿泊施設のキッチンをオーダーメイドで作るときのポイント
宿泊施設や貸別荘のキッチンは、滞在人数や動線によって求められる使い勝手が変わります。また内装のテイストに合わせたいというご要望も出てくるため、既製品のシステムキッチンでは、サイズや形状が空間にぴったり合わないことがあります。
今回は、実際にご相談いただいたある宿泊施設様の事例をもとに、オーダーメイドキッチンならではの工夫をご紹介します。

完成したL型キッチンシンク(全体)
ご依頼主は、サウナ付き一棟貸しの宿泊施設様です。内装や家具、備品のひとつひとつにこだわって作られた空間で、キッチンについても既製品ではなく、その空間にふさわしいものを希望されていました。
「開業にあたってキッチンにもこだわりたいが、既製品の中には理想に合うものが見当たらない」とのお話をいただき、空間の広さや使い勝手、ご希望の寸法に合わせて、L型のステンレスキッチンを一から製作することになりました。
天板は、一体成形とは限らない
L型のキッチン天板は、コーナー部分まで溶接でつないで一体に仕上げる方法のほか、コーナーに裏板を設けて二枚の天板を突き合わせる方法もあります。今回は後者を選び、天板を分割構造で製作しました。

製作時の図面
天板を完全に一体化するには、板を曲げ加工してから溶接し、さらに研磨して仕上げるという工程が必要となります。またステンレスは溶接の熱で歪みが出やすく、研磨した部分は元の板材と表情が変わってしまうこともあり、工程が増えるためにコストも上がりやすくなります。
完全防水が必須の場所では一体溶接が向いていますが、そうでない場合は分割して突き合わせる方法のほうが、仕上がり・コスト・施工のしやすさのバランスが良くなることがあります。L型のまま一体で作ると、搬入や輸送が大掛かりになりやすいという事情も発生します。
板厚も、キッチンの印象を左右する
一般的な厨房用シンクでは板厚1.0mm程度のものが使われることが多いのですが、今回はスクエアな形状を活かして空間全体に重厚感を出したいというご希望から、SUS304の2.0mm厚を採用しました。

完成後の様子(シンク、カウンター部分)
SUS304は耐食性に優れ、厨房や水回りで広く使われているステンレス材です。板厚を2.0mmにすることで、一般的な厨房シンクとは違う、存在感のある仕上がりになりました。
現場での取り付けやすさも、設計のうち
天板を分割構造にした場合、現場で組み合わせる際に向きを間違えないような配慮が欠かせません。今回も、裏面に印を付けたうえで出荷し、施工を担当する方が迷わず取り付けられるように工夫しました。

合板への取付向き印付けの様子
作って終わりではなく、現場でどう取り付けるかまで考えて形にする。オーダーメイドのキッチン製作では、こうした視点も欠かせないと考えています。
完成後にいただいたお声
設置後のお写真では、ステンレスの重厚感あるキッチンと、こだわりの家具・備品とが調和し、素敵な空間に仕上がっていました。

完成後の様子(シンク側からコンロに向かって)
お客様からは「とてもかっこいい仕上がりだった」「作りたいものの方向性を保ったまま、より良い形を提案してもらえた」とのお言葉をいただき、依頼の決め手として「溶接面の美しさに惹かれた」ともお伝えくださいました。

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既製品ではサイズが合わない、空間のイメージに合わせて作りたい——そんなときは、寸法・形状・板厚・仕上げなど、一つひとつ相談しながら形にしていくオーダーメイドという選択肢があります。キッチンづくりで既製品に迷ったときは、一度オーダーメイドという方向性も検討してみてはいかがでしょうか。
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